お墓の相続(祭祀承継)

お墓の相続については,一般的な相続とは異なる処理がされます。

民法では,お墓の所有権は,「先祖の祭祀を主催すべき者」が承継すると定められています(民法897条1項)。
「先祖の祭祀を主催すべき者」は,①亡くなった方が指定していた場合にはその人が,②①の指定がない場合には慣習に従って,③①及び②がない場合には,家庭裁判所が定めるとされています(民法897条1項2項)。

これは,お墓などの祭祀財産が,共有等の状態になることは適さず,原則的に分割することができないと考えられていることに配慮されたものです。

祭祀の承継者には,相続人以外もなることができますが,お墓を管理する霊園等によっては,名義変更の相手方を相続人等に限るとしている場所もあるので,注意が必要です。

亡くなった方が祭祀を主催すべき者を指定してくれていればいいのですが,そうでない場合には,相続人間で紛争になることがあります。
その場合には,相続人間で話し合いを行い,それでも解決しない場合には家庭裁判所で調停又は審判を行うことになります。

過去の裁判例では,「承継者と相続人との身分関係のほか,過去の生活関係及び生活感情の緊密度,承継者の祭祀主催の意思や能力,利害関係人の意見等諸般の事情を総合して」判断するとされたものがあります(大阪高決昭和59年10月15日判タ541号235頁)。

弁護士にご依頼いただければ,相続人間でお墓の相続に関する話し合いを代理で行ったり,調停・審判の申し立てを代理して行うことができます。
お墓の相続でお悩みの方はぜひながさと総合法律事務所(鹿児島県弁護士会)にご連絡ください。